久しぶりに私の好きな作家さんの瀬尾まいこさんの作品を紹介
夏に近づき暑くなってきているが、春ぐらいの暖かさが恋しくなっているそこのあなたに(笑)おすすめの作品である。
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📖こんな人におすすめ
・心温まる物語に触れたい方
・春が好きな方
・心を開くのが怖いと思っている方
📖『春、戻る』あらすじ
結婚を控えた主人公・さくらの前に突然自分より一回り下の“おにいさん”が現れた。
初対面のはずなのになぜか馴れ馴れしくさくらのことをよく知っている“おにいさん”。
さくらの婚約者・山田さんともすぐ打ち解け、さくらは“おにいさん”がいる日常に慣れていく。
さくらは、あることがきっかけで蓋をしていた過去と“おにいさん”の正体を思い出す。
📖『春、戻る』おすすめポイント
登場人物の人柄のよさ
瀨尾まいこ作品どれにも当てはまることだが、登場人物の人柄がみんないい。
さくらの婚約者であり、和菓子屋を営む山田さんは、さくらの前に突然現れた“おにいさん”のことをすぐに受け入れさくらのお兄さんとして接していた。
山田さんはなぜさくらより年下な“おにいさん”をお兄さんと思えたかという言葉が印象的だ。
「お兄さん、バタバタとしながらもさくらさんのこと一生懸命考えてたでしょう。だからお兄さんはお兄さんと思えたというか」 中略 「お兄さんなのかどうかはおいておいたとしても、さくらさんを大事にしてる人は、僕にとっても大事な人ですから」
その人を想って接する態度は誰かに伝わるし、自分も大切にしようと思う。
そういう瞬間って誰もが経験したことあるのではないだろうか。
山田さんの懐の深さ、さくらたちに対する愛情に触れた気がした。
また、“おにいさん”もさくらのためにいろんな料理を教えたりさくらの本物のお兄さんのように心配する姿も微笑ましたかった。
誰にでも抱える過去
さくらにも誰にでもすぐ打ち解けられるような器用さを持っていそうな“おにいさん”にも誰にも話したくない過去を持っていた。
話したくない過去をさくら、“おにいさん”は互いに打ち明けるときがくる。
過去を打ち明けた後のさくらは清々しい気持ちになったようだ。
その時々にはつらいこともやるせないこともあったはずなのに、おにいさんと掘り起こすと、どれもおかしくて少し笑えた。
誰にも言いたくない過去は誰にも持っているもの。
しかし、そんな過去を共有することで一歩前進することもあることをさくら、“おにいさん”から教えてもらった気がする。
過去を共有し終わった後のさくらたちの心には春”が再び来たような温かさがあったのではないかなと感じた。
📖まとめ
この作品を読むたびに春の温かさが戻ってきたような感覚になるお話だ。
冷たくも暑苦しくもなく心地よい温度感にいるような気分を味わえる。それは登場人物みんなが互いに思いやってる心に触れたからだろう。
これは架空の世界だが、現実にも同じ温かい心を持っている人はいるはず。
そう思えるようになった作品だった。