『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ 血の繋がりを越えた温かい絆物語

今回は2019年に本屋大賞を受賞し、2021年には映画化された名作を紹介。

瀬尾まいこさんらしい温かい家族愛が詰まった作品だ。

実は映画と原作では内容が少し違うのはご存じだろうか?

映画で涙した方は原作でも涙するに違いない。

※本ページはプロモーションが含まれています

📖こんな人におすすめ

①家族愛が描かれてる作品を読みたい方

②最近心身が疲れている方

③映画を見て実はずっと原作が気になった方

📖『そして、バトンは渡された』あらすじ

主人公の高校生・森宮優子は実は4回名字が変わり、お父さんは3人、お母さんは2人と出会っている。

今は20歳差の父・森宮さんと2人で暮らし。

ちょっと複雑で変わった事情で親のリレーのバトンを渡されてきた優子だけれど、優子は不幸だとは決して1ミリも思っておらず、優子の親たちはみんな優子を想い愛情を注いできた。

そんな優子がいつしか家族を持つときがやってくる…

📖優子の親子のリレーの流れ

①水戸夫妻(血の繋がった両親)

   ↓(3歳のときに母親と死別)

②父・水戸秀平が梨花さんと再婚

   ↓(水戸秀平は海外転勤になったため梨花さんは離婚して梨花さんと2人暮らしに)

③梨花さんが泉ヶ原さんと再婚

   ↓(梨花さんが泉ヶ原さんと離婚)

④梨花さんが同級生だった森宮さんと再婚

   (後に梨花さんは別の人と再婚することになり森宮さんの元を離れていった)

📖『そして、バトンは渡された』おすすめポイント

痛みを乗り越えてきた優子

優子は同じクラスメイトの女子たちに目をつけられてクラスの中で孤立してしまうのだが、優子は1人になっても動じず学校生活を送っていた。

その強さは何度も親との別れを経験しているからだ。

優子が血のつながった父親(水戸さん)との離れて暮らすことを選択することになったのは10歳のとき。

10歳の子でしっかりしてる子はいるし、優子も物分かりのいい子のようだったが、大好きな父親との別れは辛いものだ。

お父さんと別れてからの日は梨花さんが何を提案しても優子はお父さんの帰ってくることしか願いはなかったくらいだった。

高校生になった優子は10歳のときのことをこう振り返ってる。

私に選択させるべきじゃなかったのだ。お父さんと梨花さんが自分たちで決めて、納得させるべきだった。小学校高学年になるといったって、まだ10歳なのだ。正しい判断が、そのあと悔やまない判断が、できるわけがない。

昔にいけばいくほど“選択したことが正しかった”なんて言えることの方が少ないと思う。

その経験や苦い思い出があるから辛いと思われるものも乗り越えられる。

優子が大切な親との別れを経験したことで強さを身につけたのだろう。

お互いを想い合う

優子の親たちは優子の幸せを第一に考え愛情を与えてきた。

例えば自由奔放な性格の梨花が再婚したのも大好きな優子が幸せになるために決断したこと。

優子もその愛情を感じ受けとっている。

優子と親たちがお互いを思い合っている姿に何度も心温まった。

例えば、ピアノを弾きたい優子に裕福な泉ヶ原さんは大きなピアノを会社員の森宮さんは電子ピアノを用意。

ピアノを用意してくれた2人の気持ちを優子はしっかり受け取っている。

泉ヶ原さんが念入りに手入れを施してくれたピアノ。森宮さんがあれこれ選んで買ってくれた電子ピアノ。私はいつも最高の状態のピアノを弾いてきた。”

裕福な泉ヶ原さんと会社員の森宮さん。

環境は違うけれど2人とも優子に最高の状態で弾いてほしいという思いでピアノを用意してくれた。

その思いに感謝してピアノを奏でる優子。

お互いの思いやりに気づいて感謝することはどんな状況立場であれとても大切なことだ。

親や家族だけでなく外の交遊関係でも相手の思いやりに気づき返していけたらいいなと思った。

20歳差の父・森宮さんとの関係

高校生の優子は20歳差の森宮さんと2人暮らし(2番目のお母さんの梨花さんは森宮さんとの再婚後数ヶ月後に出ていってしまった)

優子と少しズレた性格の森宮さんとの家でのやり取りが度々出てくるのだが、そのやり取りがとても面白い。

特に森宮さんが優子が結婚したいと言った相手を“風来坊”と例えて反対するところが個人的に面白かった(笑)

優子は森宮さんを「お父さん」と呼ぶことはないけど一緒に暮らしはじめてからこの帰る場所を壊されたくないと思うほど大事な存在となったようだ。

森宮さんは優子と暮らしの生活を梨花さんが話していたことも含めこう語っている。

「自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が2倍以上になるってことだよって。明日が2つにできるなんてすごいと思わない?未来が倍になるなら絶対したいだろう。それってどこでもドア以来の発明だよな。しかもドラえもんは漫画で優子ちゃんは現実にいる」

“どこでもドア”=“子供の優子”が同じってすごいことだし、そう言われた優子はとても嬉しかったと思う。

優子との生活は森宮さんにとって明るい未来にしてきたのだろう。

優子の親はどの人もすてきだったけれど、ひたむきにお父さんになろうと頑張り思いやった森宮さんが個人的にお気に入りとなった。

📖まとめ

“親が何度も変わっている”と聞いてネガティブな印象を受けた人もいるかもしれない。

ただ、ここに出てくる親たちは皆優子のことが大好きで愛情をたくさん注いでいる。

その愛情を受けた優子はとても幸せ者だっただろうなとすぐ想像できた。

血の繋がり関係なく人を思うことはできるしハッピーにさせることもできる。

そんな大切なことを教えてくれた作品だった。

あき

本、音楽、ファッション、可愛いものが好きです。
サンリオキャラクターたちや夏目友人帳のニャンコ先生に癒される日々
マイブームは音声メディア・Voicyを聞くこと

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